KONOMANA · OBSERVATION ROOM 02
同じページに、
何度も戻る。
読み聞かせの途中で、子どもの指が前のページへ戻ります。そこにもう一度確かめたいものがあるのかもしれません。戻った理由を急いで決めず、どこを見ているかを一緒に見てみます。

LOOK CLOSER · この場面から学ぶ
まず、ここを見てみる
- 戻ったページの、どの絵や言葉で指先が止まるか。前回と同じ場所か、違う場所か。
- 読み手が少し間を置くと、何か言う、指す、めくるなどの動きがあるか。回数だけで理由を決めない。
目に見えたこと、本人が伝えたこと、大人が考えたことを分けて読みます。家庭では、一つの場面から始められます。
「先へ進まない」ではなく。
大人は、物語を最後まで読もうとします。けれど子どもにとって、一冊の絵本は一本道とは限りません。好きな形へ戻り、同じ言葉を待ち、さっきとの違いを見つけながら読んでいることがあります。
戻ることが、いつも停滞を意味するわけではありません。見たものと言葉を結び直していることもあれば、好きな場面を楽しんでいることもあります。
同じページで、何を見ているだろう。
同じページでも、何に目を向けているかは違います。次のような動きがあるか、見てみます。
- 絵の中の色や形を指す
- 前後のページを行き来して見比べる
- 同じ言葉を口にしたり、その言葉の前で待ったりする
- 前に指した場所を、もう一度指す
- 同じ絵をしばらく見たり、自分でページをめくったりする
回数だけで決めつけず、視線と指先を見てみます。前と同じ場所を見ているのか、新しいものを指しているのか。その違いと本人の言葉が、今の関心を考える手がかりになります。
褒めるなら、見つけたことを言葉に。
「すごいね」だけで終わらせず、見えた行動を短く返します。どこを見たかを一緒に確かめる言葉になります。
家庭で、一度だけ試すこと。
子供が前のページに戻ったら、すぐに先へ促さず、ひと呼吸だけ待ちます。
- どこを見ているか
- 指先がどこで止まるか
- 次の言葉を待っている様子があるか
質問を重ねる必要はありません。子どもが指したものを一緒に見て、気づいたことを一つだけ言葉にします。
終わりが必要なときは、約束を目に見える形に。
時間がない日に、何度も最初から読むのは難しいこともあります。「あと一回見たらおしまい」と伝え、しおりを挟む、気になったページを覚えておくなど、続きがあると分かる形にします。
子どもの関心を大切にすることと、大人の時間を守ることは両立できます。無理に付き合い続けなくても大丈夫です。
「先へ進む」と「深く知る」を分ける。
次のページへ進む。早く終える。新しいことを増やす。
同じ場面を見比べているか。前回と違うものを指したか。どんな言葉を口にしたか。
繰り返しは、停滞とは限りません。大人が「また同じ」と感じる場所で、子どもは前には見えなかった細部を確かめていることがあります。読んだページ数だけで測らず、同じ場面でどんな指差しや言葉のやり取りがあったかにも目を向けます。
TRY & NOTICE · 家庭で確かめる
戻った一ページを、一緒に見る。
本文の「家庭で、一度だけ試すこと。」で紹介した、ひと呼吸待つ読み方を具体的に試します。別の課題を増やす必要はありません。
- 準備
- いつも読んでいる絵本一冊。終わりを示すしおりは、紙片で十分です。
- 読む前に「今日はこのページまで」と、終わり方を伝える。子どもが戻ったら、すぐに先へ促さず一度待つ。
- 指した場所を一緒に見る。「ここに小さい犬がいるね」など、実際に見えることを一つだけ返す。質問は重ねない。
- 続きを読むか、そのページで終わるかを相談する。時間が来たらしおりを挟み、「次はここから」と伝える。
記録すること
戻ったページと指した物、口にした言葉を一つ残す。「三回戻った」だけでなく、「犬の絵を三回指した」と書く。
繰り返した回数だけでは、理解や記憶の程度は分かりません。急ぐ日は一ページだけでもよく、毎回最初から読み直す必要はありません。
THINK & RETURN · 学びを確かめる
この場面なら、どう考える?
同じページへ三回戻ったら、「話を理解していない」と決めてよいでしょうか?
考えてから、解説を読む
戻った回数だけでは、理解しているかどうかは決められません。好きな絵を見たい、同じ言葉を聞きたい、前の場面と比べたいなど、いくつかの理由が考えられます。
どこを指したか、何と言ったかを一緒に確かめます。理解を証明させる質問を次々にするより、その一回のやり取りを具体的に見ます。
TAKE IT WITH YOU · 読んだあとに
このコラムから、持ち帰ること
- 戻る回数と、戻った場所で起きていることを分けて見る。指先や発話は、関心を考える手がかりになる。
- 繰り返しを楽しむ時間と、読み終える必要のある時間の両方を守る。しおりで続きを残す方法も選べる。
説明を確かめたい方へ
観察と関わり方の説明を確かめる資料です。本文の家庭の場面は、考え方を試すための例です。