KONOMANA / MATTER & ENERGY
物質とエネルギー
とける氷から、
ものと変化のしくみへ。
氷がとける。コップに水滴がつく。スイッチを入れると、明かりがともる。見慣れた変化の奥にある「ものをつくる粒」と「エネルギーの移動」を、図と観察からたどります。

「何からできている?」「エネルギーはどこへ移った?」。気になる図を一つ選んでみよう。詳しい説明は「もう少し詳しく」「保護者へ」を開くと読めます。
親子で、図から読んでみよう
一つの「どうして?」を選ぼう。
氷・水滴・明かり。気になる絵から、「何が変わった?」を探してみよう。
このページの目次
見えない小さな粒が、ものの性質をつくる。
水を小さな一滴にしても、それは水です。もっと細かな世界まで考えると、水は「水分子」という小さな粒からできています。水分子は、酸素原子一つと水素原子二つが結びついたもの。空気や金属も原子からできていますが、原子の種類や結びつき方は同じではありません。1
ものの性質を調べるとき、科学者は「どんな粒からできているか」「どう並び、どう動き、互いにどんな力を及ぼすか」を考えます。目で見た変化と、目では直接見えない世界の説明を、実験を通して結びつけていくのです。
保護者へ:図は、考えるための模型です。
分子を丸い印で描くのは、並びや間隔に注目するためです。水分子の実際の形、大きさ、数をそのまま写した図ではありません。金属など、独立した分子として扱わない物質もあります。「すべてのものが同じ丸い分子からできている」と一般化せず、ここでは水の模型として読み進めます。
姿が変わっても、水分子は水分子のまま。
身近な「どうして?」から考える
氷が小さくなると、水が増えるのはなぜ?
皿に氷を一つ置いて、少し待ってみよう。角が丸くなり、まわりに水が広がります。氷が消えて別の水が現れたのではなく、氷そのものが液体の水へ変わっています。
ふつうの部屋では、空気や皿のほうが氷より温かいね。そのため、空気や皿から氷へエネルギーが移ります。温度の違いによって移るエネルギーを「熱」といいます。火にかけなくても、氷がとけるのはこのためです。
熱を受け取ると、温度が上がることも、姿が変わることもあります。氷がとけている間は、受け取ったエネルギーが、氷から水への変化にも使われます。あたためたら、いつも温度が上がり続けるわけではありません。
氷が小さくなったら、何が増えた?
同じ皿の上にある氷を、時間をおいて見てみよう。室温の空気や皿から、冷たい氷へ熱が移ります。
01 とける前
氷の形が、はっきり。
氷は角のある形を保っています。水は、まだほとんどありません。
02 とける途中
氷が減り、水が増える。
氷の角が丸くなり、背も低くなります。まわりには水が広がってきます。
03 全部とけたあと
氷だったものが、水に。
氷は見えなくなっても、水として残っています。なくなったわけではありません。
変わったのは、水の「姿」。氷がとけても、水分子は水分子のままです。粒の並び方や動き方が変わり、流れる水になります。
とけると、変わるのは水分子の並び方と動き方。水分子そのものが、とけて小さくなるわけではありません。氷では決まった位置のまわりで動いていた水分子が、水になると互いの位置を変えて動けるようになります。
図を見て、考えてみよう氷が小さくなったら、どことどこを見比べる?
まず、残っている氷の高さや輪郭と、まわりにできた水を見比べよう。「氷が減って、水が増えた」と言えそうだね。水の広がり方は皿によっても違うので、氷の形も一緒に見るのが手がかりです。
次は図の金色の矢印を指でたどってみよう。空気や皿から氷へ向かっています。「何が変わったか」に加えて、「変化のためのエネルギーはどこから来たか」も考えられます。
氷の中では、水分子がすき間のある規則的な構造をつくり、その場のまわりで振動しています。氷がとけると、その構造がくずれ、水分子が互いの位置を変えながら動けるようになります。水蒸気になると、水分子は大きく離れて動きます。状態変化では、水分子そのものが大きくなったり、水素と酸素に分かれたりするわけではありません。2
水には少し特別な性質があります。氷の構造は、液体の水よりすき間が多いため、同じ重さなら氷のほうがかさばります。氷が水に浮くのも、この密度の違いとつながっています。2
氷・水・水蒸気を、粒子の並びで見比べる。
氷固体
水分子は、決まった位置のまわりでゆれ動きます。氷では、すき間の多い並び方をしています。
水液体
水分子は近くに集まりながら、位置を入れ替えて動きます。入れた容器に合わせて形が変わります。
水蒸気気体
水分子は互いに離れ、いろいろな方向へ動きます。水蒸気そのものは、目には見えません。
もう少し詳しく:あたためても、すぐ温度が上がらないとき。
純粋な氷と水が、一定の圧力のもとで共存している間は、加えたエネルギーが主に状態変化に使われ、温度は融点付近に保たれます。これを説明するのが「潜熱」です。家庭の氷では、不純物や測る場所、周囲との熱のやりとりによって、温度計の値に違いが出ます。3
温度は、いまの温かさ。熱は、移るエネルギー。
温度計の数字と、矢印を分けて見よう
温度は「どのくらい?」。熱は「どちらへ移る?」。
温度計に「35℃」と出たら、その水がいま、どのくらい温かいかを表しています。この数字が温度です。一方、温かい水に冷たい金属のスプーンを入れると、水からスプーンへエネルギーが移ります。このように、温度の違いによって移るエネルギーを熱といいます。
スプーンが温かくなるとき、水の側もエネルギーを渡して、少し冷えます。温度計の数字は「そのときの温かさ」、矢印は「エネルギーの移る向き」。別々のことを表しているんだね。
温度計の数字と、熱の移る向きを分けて見よう。
温かい水から、冷たいスプーンへ。
冷たい金属のスプーンを、温かい水に入れた最初のようすです。温度が違うと、どちらからどちらへエネルギーが移るでしょう。
温かい水35℃
入れたばかりの金属スプーン15℃
数字が表すのは、温度。
そのときの熱さ・冷たさの程度を表します。温度計で測ることができます。
金色の矢印が表すのは、熱。
温かい水から、冷たいスプーンへ、温度差によってエネルギーが移ります。このように移るエネルギーを「熱」といいます。
熱は、温度の高いほうから低いほうへ移ります。スプーンはエネルギーを受け取って温まり、水とスプーンの温度差は小さくなっていきます。
同じ25℃でも、水の量は違う。
温度計の数字が同じでも、水の量まで同じとは限りません。二つのコップの水位と、温度を見比べてみよう。
少ない水
温度計は 25℃
多い水
温度計は 25℃
この二つの水を、25℃から同じ温度まで温めるなら、水が多いほうが多くのエネルギーを受け取る必要があります。
温度は、いまの温かさ・冷たさの程度。熱は、温度の違いで移るエネルギーです。熱を受け取ると、温度が変わることも、氷が水になるように姿が変わることもあります。
親子の会話例水が多いコップのほうが、温度も高いの?
水の量と、温度計の数字を比べる図を見ながら。
- 子供
こっちのコップは水がいっぱい。こっちのほうが温かいの?
- 保護者
温度計の数字を見てみよう。どちらも25℃なら、温度は同じだよ。水が多いことと、温度が高いことは別なんだ。
- 子供
水が多いと、何が違ってくるの?
- 保護者
たとえば両方の水を25℃から20℃まで冷ますなら、水の多いほうから、より多くのエネルギーが周りへ移るよ。温度の違いで移るこのエネルギーを、熱というんだ。
- 子供
同じ25℃でも、水の量は考えないといけないんだね。
- 保護者
うん。温度計は「いま何度か」、水面の高さは「水がどれくらいあるか」を見ているよ。熱の矢印では、温かいほうから冷たいほうへ、どちら向きに移るかを見よう。
一緒に確かめること温度、ものの量、移るエネルギーの量を、別々に確かめることが大切です。
図を見て、考えてみよう25℃の水が多いコップのほうが、温度も高い?
温度計がどちらも25℃なら、温度は同じです。違うのは水の量。温度計の数字は、水の量を表してはいません。図の水面の高さと、温度の数字を、別々に見てみよう。
ただし、どちらの水も25℃から35℃へ温めたいなら、量の多いほうに、より多くのエネルギーを加える必要があります。同じ水で、温度の上げ幅も同じにし、周りへ逃げるエネルギーを除いて比べたときの話です。
スプーンの図では、矢印の出発点と行き先も見てみよう。温度の高い水から、低いスプーンへ向かっています。冷たさがスプーンから水へ出ていく、と考えるより、この向きで説明がつながります。
金属のほうが冷たく感じたら、温度も低い?
同じ部屋にしばらく置いた金属と木のスプーンでも、触ると金属のほうが冷たく感じることがあります。室温が手より低いとき、金属は木よりも手からエネルギーを受け取りやすく、手が速く冷えるためです。「冷たく感じた」は手の感覚。「温度が低かった」と確かめるには、温度計が必要です。4
温度は、熱い・冷たいの程度を表します。熱は、温度の違いによって移るエネルギーです。熱は自然には温度の高い側から低い側へ移ります。室温の皿に置いた氷は、皿や空気からエネルギーを受け取ってとけます。「氷から冷たさが出てくる」と考えるより、エネルギーの移る向きをたどると、説明がつながります。4
コップの外の水滴は、どこから来る?
身近な「どうして?」から考える
ふいたコップが、またぬれるのはなぜ?
冷たい水を入れたコップの外を、布でふいてみよう。しばらくすると、また小さな水滴がつくことがあります。コップに穴がないのに、水はどこから来たのでしょう。
コップの外の空気にも、目に見えない水蒸気があります。冷たいコップの近くで空気が冷やされると、その水蒸気の一部が液体の水に変わり、外側に水滴がつきます。これが「結露」です。
コップの外の水滴は、空気の中にあった水。
冷たい水を入れ、外側をよくふいたコップ。しばらく待つと、外側に水滴が付くことがあります。
01 空気の中
見えない水蒸気がある。
コップのまわりの空気にも、気体になった水が含まれています。水蒸気そのものは見えません。
02 冷たいコップの近く
近くの空気が冷やされる。
空気が冷やされると、含まれていた水蒸気の一部が、液体の水になることがあります。
03 外側の表面
小さな水滴になって付く。
水滴が集まると、目で見えるようになります。この変化を「結露」と呼びます。
中の水が、しみ出したのではありません。コップの外にあった水蒸気が、水滴へ変わったのです。水滴が付くかどうかは、空気の湿り具合や、コップの冷たさにもよります。
水滴のもとは、コップの外の空気にあった水蒸気。中の飲み物が、コップの壁を通り抜けたわけではありません。
図を見て、考えてみよう冷たい水と室温の水では、外の水滴は同じかな?
同じ種類のコップを二つ並べ、一方は冷たい水、もう一方は室温の水にして、外側をふいてから待ってみよう。水滴がついた場所や数を見比べると、コップの冷たさとの関係を考えられます。
水滴がつかない日もあります。空気の湿り具合や、コップの冷たさで変わるためです。図は水滴がつく条件がそろった場合を示しています。
図と説明の出典 5下の本文では、しくみをもう少しくわしく説明します。
冷たい飲み物を入れたコップの外側に、水滴がつくことがあります。これは、コップの中の水がしみ出したものではありません。コップの近くの空気が冷やされ、空気に含まれていた水蒸気の一部が液体になったものです。この変化を「結露」といいます。5
水蒸気は、気体になった水で、目には見えません。湯気の白い部分は、主に小さな液体の水滴です。「白く見えるもの」と「そこにある水の状態」を分けて考えると、雲や霧、雨のでき方にもつながります。5
水の行き先を、もう一歩
ぬれたタオルは、火にかけなくても、どうしてかわく?
手をふいたタオルを干しておくと、やがてかわきます。下に水が落ちていなくても、水は減っています。水はどこへ行ったのでしょう。
液体の水の表面からは、水分子の一部が空気中へ出ていきます。これが「蒸発」です。水を沸騰させなくても、室温で起こります。出ていく水分子が、空気から戻る水分子より多ければ、タオルに残る水は減っていきます。
水をつくる粒は、どこにある?
水分子が近くに集まった液体の水が、布の中にある。
水分子の一部が、まわりの水分子から離れて空気中へ出る。
離れた水分子が空気中へ広がる。水蒸気そのものは見えない。
さっきの冷たいコップでは、空気中の水蒸気が液体の水滴になりました。タオルでは、液体の水が水蒸気になります。「水から空気中へ」と「空気中から水へ」。向きを比べると、蒸発と結露がつながります。湯気や霧の白い部分は、小さな水滴が集まったものです。「見えない水蒸気」と「見える水滴」を分けて考えよう。
確かめよう|「水が見えなくなったから、なくなった」でよいかな?
見えなくなったことだけでは、なくなったとは言えません。蒸発した水は、見えない水蒸気として空気中にあります。水の行き先を説明するときは、「液体の水が、気体の水になった」と言えます。
水分子を離すにはエネルギーも必要です。室温の観察でも、周りの空気や紙、水そのものとのエネルギーのやりとりがあります。火を使わないことと、エネルギーが関係しないことは違います。
基礎の出典:米国化学会:蒸発を粒子で説明する、USGS:蒸発と水循環。家庭の観察は、加熱を行わない方法に編集しています。
電流の通り道は輪。エネルギーは、その先へ。
身近な「どうして?」から考える
スイッチを押すと、何がつながるの?
懐中電灯をつけたり、消したりしてみよう。電池を取り出していないのに、明かりが変わります。スイッチは、電池と光る部分をつなぐ電流の通り道を、つないだり切ったりしています。
電流が流れ続けるには、電池と光る部分を通って、ひとまわりできる道が必要です。この道を「回路」といいます。下の図では、しくみを考えやすいように、電池・スイッチ・豆電球だけで表しています。
スイッチで変わるのは、「一周の道」。
変えたのは、上にあるスイッチのつなぎ方です。左に描いた電池から、下の豆電球を通り、電池へ戻る道を指でたどってみよう。
スイッチを入れる
切れ目のない輪になる。
電池・導線・豆電球が、一周につながっています。電流が流れ続け、豆電球が光ります。
スイッチを切る
スイッチの所で、道が切れる。
一周できなくなり、この回路全体で電流が流れなくなります。豆電球は消えます。
「豆電球まで行ける」だけでは足りません。電池と豆電球を含む、切れ目のない一周の道が必要です。スイッチを切るのは、電池を使い切ることとは違います。
電池があっても、道が一か所切れていると、この回路には電流が流れ続けません。道がひとまわりにつながり、電池がはたらくことで、豆電球に電流が流れて光ります。
図を見て、考えてみようスイッチで道を切ると、豆電球の手前まで電流が流れる?
この枝分かれのない回路では、流れ続ける電流は回路全体で止まります。「切れ目まで流れて、そこでたまり続ける」というしくみではありません。図の線を、電池から豆電球を通って、もう一度電池まで指でたどってみよう。切れ目のある図では、ひとまわりできないね。
また、豆電球は電流を食べて光るのではありません。電流が流れると、電池が供給するエネルギーが光や熱へ移ります。「電流が流れる道」と「エネルギーのゆくえ」は、この下の図で分けて見てみよう。
スイッチで消すことと、電池が切れることも違います。スイッチは道を切ります。使い続けて電池が切れるときは、中の物質の状態が変わり、回路にエネルギーを供給し続けにくくなっています。電池の中身や、電流を運ぶ粒が、全部なくなったということではありません。
懐中電灯のスイッチを入れると、電池と光る部分をつなぐ回路が閉じ、電流が流れます。スイッチは、その道をつないだり切ったりする部品です。枝分かれのない一つの回路では、光る部分の前後で電流の大きさは同じです。「電球が電流を食べて、残りが戻る」という説明にはなりません。6
電池は、内部の材料の化学的な変化を利用して、回路にエネルギーを供給します。LEDなどの光る部分では、電気的に運ばれたエネルギーの一部が光になり、一部が周囲を温めるはたらきへ移ります。電流の道と、エネルギーの移り先を、別々にたどってみましょう。8
保護者へ:電池の中と、外の導線は同じではありません。
金属の導線では電子が、電池の電解質ではイオンが、電荷を運ぶことに関わります。電池が外へ電子を一方的に出して使い尽くす、という模型だけでは内部のしくみを説明できません。充電も、単に電子を容器へ詰め直すことではなく、外部からのエネルギーを使って材料の状態を戻す過程を含みます。8
電池のエネルギーは、光や動きに変わる。
同じ電池から、違うはたらきへ
光る懐中電灯と、走るおもちゃ。どこが違う?
電池で、懐中電灯を光らせることも、おもちゃの車を走らせることもできます。電池の中では、物質の化学的な変化を利用して、回路へエネルギーを供給しています。つながる部品のはたらきによって、そのエネルギーが光や動きに変わります。
電池のエネルギーは、光や動きへ。
出発点は、電池
中の物質が、化学反応を起こす。
電池は化学エネルギーを利用して、回路にエネルギーを供給します。
回路を通して、電気的にエネルギーが運ばれる。
回路から、LEDへ
LEDでは、光が出る。
- 電流が、「半導体」という材料の中を流れます。
- 材料の中で、電子のエネルギーの状態が変わります。
- そのエネルギーの一部が、光として出てきます。
電子そのものが、光に変わってなくなるわけではありません。一部のエネルギーはLEDなどを温め、周囲へ熱として移ります。
回路から、モーターへ
モーターでは、軸が回る。
- 導線を巻いた「コイル」に、電流が流れます。
- コイルと磁石との間にはたらく力で、回る部分が動きます。
- その回転が軸に伝わり、つないだ羽根を回します。
一部のエネルギーは、周囲へ熱として移ったり、音になったりします。
軸を回すためのエネルギーは、電池が供給します。磁石は、回るしくみに関わっています。
ここでは、小型モーターのしくみの一例を示しています。コイルや磁石の位置、回る部分は、方式によって違います。
明かりと、動き。器具が変わると、エネルギーの移り変わり方も変わります。LEDなら光、モーターなら軸の回転に注目すると、電池から届いたエネルギーが何に使われたかをたどれます。
電池がエネルギーのもとになり、LEDでは光、モーターでは軸を回す動きへ変わります。光る場合も動く場合も、エネルギーの一部は器具を温め、周りへ熱として移ります。
図を見て、考えてみよう光る道と動く道で、同じところ・違うところはどこ?
同じなのは、電池から回路へエネルギーが供給されること。違うのは、電流が流れた先で、どの部品がはたらくかです。LEDは光を出し、モーターは軸を回します。図では、電池から出発する矢印を、それぞれの部品まで指でたどってみよう。
モーターの軸に羽根がつけば、羽根が空気を動かします。歯車を通して車輪につながれば、おもちゃの車が走ります。回る力を何へ伝えるかで、できることも変わるんだね。
電流そのものが光や動きになって、消えてしまうわけではありません。回路に電流が流れると、電池が供給するエネルギーが、光や動き、周りへ移る熱などに変わります。
もう少し詳しく:LEDは、どのように光るの?
LEDは、半導体という材料を使った部品です。電流が流れると、材料の中で電子のエネルギーが変わり、その一部が光として出ます。豆電球が細い金属を高温にして光るしくみとは異なります。LEDでも、すべてのエネルギーが光になるわけではなく、一部は本体を温め、周囲へ熱として移ります。
エネルギーは、どこへいった?
なくならないのに、なぜ電池が切れるの?
懐中電灯を使い続けると、やがて電池が消耗して、明かりを十分につけられなくなります。けれど、電池の中身や、世界のエネルギーが全部なくなったわけではありません。器具と、そこからエネルギーが移った周りまで、一緒に考えてみよう。
電池から出たエネルギーは、どこへ移った?
懐中電灯を使う前から、光が届いた先まで。エネルギーの行き先を、三つの場面でたどってみよう。
01 使う前
電池の中の、物質の状態に注目。
物質の状態に、化学エネルギーが蓄えられています。電池は、化学反応を利用して回路へエネルギーを供給できます。
02 使っている間
回路を通して、LEDへ。
LEDは光を出します。一部のエネルギーは本体などを温め、周囲へ熱として移ります。
03 光が届いたあと
光は、壁や床などに吸収される。
光のエネルギーも、壁や床を温めることにつながります。エネルギーは、広い範囲へ移っていきます。
エネルギーが、消えたのではない。
電池・器具・エネルギーの移った周りまで、まとめて見ると、エネルギーの量は保たれます。電池から、器具や周りへ移り先が変わっています。
電池の物質の状態は、変わっている。
使うにつれて物質の状態が変わり、回路へエネルギーを供給し続けにくくなります。そのため、明かりが弱くなったり、つかなくなったりします。
「エネルギーが残る」と「もう一度、同じように使える」は、別のこと。広い範囲に散らばったエネルギーは、そのままでは集めて利用しにくくなります。充電池を再び使うときも、外からエネルギーを加える必要があります。
電池の中では、材料が化学的に変化します。使い続けて電池が消耗すると、その器具に必要な電流を十分に流し続けにくくなります。これが、ふだん「電池が切れた」と呼んでいる状態です。材料や、電流を運ぶ電荷が、全部消えたという意味ではありません。
LEDから出た光は、壁や床などに吸収されると、それらを温めます。本体で生じた温まりも、周りへ熱として移ります。手で一度押して、手を離したおもちゃの車も、やがて止まります。動きのエネルギーは、車軸や床との摩擦、空気とのやりとりで、周りの温まりや音などへ移ります。
エネルギーは、消えずに移っています。ただし、広い周りへ広がり、温度の違いが小さくなると、もう一度同じ光や動きに使うのが難しくなります。「残っていること」と「使いやすい状態にあること」は、同じではありません。
親子の会話例電池が切れたら、エネルギーは消えたの?
電池で動くおもちゃが止まったとき、エネルギーの行き先の図を見ながら。
- 子供
おもちゃが止まっちゃった。電池のエネルギーが、なくなったの?
- 保護者
電池に蓄えていたエネルギーは、おもちゃの動きなどに変わり、やがて周りを少し温めるほうへ広がるよ。全部消えてしまったわけではないんだ。
- 子供
周りにあるなら、そのまま集めて、また走らせられない?
- 保護者
広く周りへ広がった分を、全部集めて元どおりに使うのは難しいんだ。エネルギーが残っていることと、おもちゃを動かせる形で使えることは違うんだよ。
- 子供
新しい電池だと、また走るのはどうして?
- 保護者
中の化学反応で、動かすのに必要な電気のエネルギーを送り出せるからだよ。使った電池は、それを十分に送り出せなくなるんだ。図では、電池だけでなく、その周りへの矢印までたどろう。
一緒に確かめることエネルギーはなくならなくても、周りへ広がると、同じ目的にそのまま使い直すのが難しくなります。
図を見て、考えてみよう明かりが消えたら、エネルギーもなくなった?
図の最後を見てみよう。光を吸収した壁や床、器具、その周りへ、エネルギーが移っています。電池だけを見ると行き先を見失いがちですが、周りまで広げて考えると、「消えた」のではなく「移った」と説明できます。
ただ、そのわずかな温まりが、自然に電池へ戻って明かりをつけるわけではありません。もう一度使える状態に近づけるには、対応する充電池を、外の電源から充電します。使い切りの電池は充電しません。
充電は、どこからエネルギーを受け取るの?
充電池は、対応する充電器を通して外からエネルギーを受け取り、中の材料を、再びエネルギーを供給できる状態へ近づけます。コンセントなどから受け取るのであって、部屋へ広がった温まりが自然に集まり、電池に戻るわけではありません。
使うときと、充電するとき。出発点を比べよう。
使うとき|充電池から、器具と周りへ。
充電池
化学反応を利用し、回路へエネルギーを供給します。
器具
電気的に伝えられたエネルギーが、光や動きなどに変わります。
周り
エネルギーは、周囲の物や空気へ移っていきます。
充電するとき|外の電源から、充電池へ。
外部の電源
コンセントなど、外の電源からエネルギーを受け取ります。
充電器
充電池に合うように電気を調整し、エネルギーを渡します。
充電池
外からのエネルギーを使い、物質の状態を戻していきます。
充電では、外からエネルギーを受け取る。周りに散らばったエネルギーが、自然に電池へ集まり直すわけではありません。別の電源からエネルギーを加えて、再び供給できる状態へ近づけます。
図を見て、考えてみよう充電すると、エネルギーは新しく生まれる?
新しく生まれるのではなく、電源側から充電池へ移っています。図では、使うときと充電するときの、矢印の出発点を見比べよう。使うときは充電池から器具へ、充電するときは外の電源から充電器を通って充電池へ向かっています。
充電にもエネルギーが必要です。受け取った分がすべて電池に蓄えられるわけではなく、一部は充電器や電池などを温め、周りへ熱として移ります。充電をくり返せることと、外からエネルギーを受け取らずに使い続けられることは、違うんだね。
充電するのは、充電用と表示された充電池を、対応する充電器で使う場合です。使い切りの電池は充電しません。充電の操作は大人と、製品の説明書に従って行います。
節電は、必要なはたらきを保ち、むだな使用を減らすこと。
絵本を読むための明かりは使おう。一方で、誰も使っていない部屋の明かりは、家族に確かめて消せます。必要なことをできるようにしながら、むだな使用を減らすのが、身近な節電です。
- 01使わない明かりを消す
読む人も、通る人もいないか、家族と確かめます。
- 02電池や電源から取り出す量を減らす
必要のない光や温まりへ、余分にエネルギーを移さずにすみます。
- 03余分な消耗と、供給の負担を減らす
電池の余分な消耗を減らし、電気を用意して届ける側の負担を減らすことにもつながります。
部屋の明かりをつけるには、発電所などで電気を用意し、家まで届ける必要があります。使わない明かりを消せば、その分だけ、用意して届ける電気を少なくできます。だから、エネルギーの総量がなくならなくても、むだに使わないことには意味があります。資源や環境への効果は、発電の方法などで違います。
図を見て、考えてみよう使わない明かりを消すと、何が少なくなる?
世界のエネルギーそのものを消しているのではありません。明かりをつけるために、電池や電源から取り出す量を減らしています。必要のない明かりを消すと、その分を光や周りの温まりへ移さずにすみます。
図で大切なのは、「エネルギーがなくならない」ということと、「電池や電源から、むだに取り出さない」ということを、分けて考えることです。必要な明かりを使いながら、使わない明かりを見直してみよう。
保護者へ:周りに移った熱は、まったく利用できない?
温度差があれば、熱機関などでその一部を仕事として取り出せる場合があります。問題は、器具と周囲が同じ温度に近づいたあと、その温まりだけから、外に別の変化を残さず、すべてを元の電池のはたらきへ戻すことはできない、という点です。エネルギーの総量の保存と、仕事へ利用できる程度を区別します。
電池切れの説明は、同じ器具を使い続けて電池が消耗した場合を扱っています。低温、接触不良、器具の故障などで点かない場合まで、すべて材料の消耗とは決めません。充電池にも劣化があり、何度でも完全に元へ戻るという意味ではありません。
小さな材料の違いが、電池や発電を変える。
材料をつくる粒の種類や並び、材料どうしが接する境目を変えると、光や電気への応答も変わります。研究者は、小さな試料を測り、予想と結果を比べ、組合せを調整します。身近な「一つの条件を変えて比べる」という方法が、材料研究にもつながっています。
材料とエネルギーをつなぐ
白い紙は光らないのに、どうして見える?
明るい部屋では、机の上の紙も、本の文字も見えます。紙そのものが、電球のように光を出しているのでしょうか。
白い紙に届いた光の一部は、いろいろな方向にはね返ります。その光が目に届くので、紙が見えます。はね返ることを「反射」といいます。紙を通り抜ける光や、紙に吸収される光もあります。光と材料が出会うときは、行き先を分けて考えます。
同じ光にも、違う行き先がある。
白い紙などで起こる。目へ届いた光で、紙を見ることができる。
窓ガラスなどで起こる。通り抜けた光で、窓の向こうが見える。
光のエネルギーが材料に移る。紙や床を温めることなどにつながる。
確かめよう|影ができると、光のエネルギーは消える?
紙の向こうへ届く光が少なくなっても、エネルギーが消えたわけではありません。紙で反射して別の方へ進んだ分や、紙に吸収された分があります。暗く見えた場所だけでなく、光を受けた紙の側も考えます。
ただし、文字の見え方だけでは、反射と吸収の割合は測れません。紙が温まったかも、この観察だけでは確かめていません。「分かったこと」と「まだ測っていないこと」を分けよう。
この見方は、下で紹介する太陽電池にもつながります。反射して外へ戻る光を減らし、材料が受け取った光のエネルギーを電気として取り出す工夫です。光をよく吸収するだけで、よい太陽電池になるとは限りません。材料の中で電気を取り出すしくみも必要です。
基礎の出典:NASA:光と物質の関わり、米国DOE:太陽電池の基礎[出典9]。太陽や強いライトを直接見る観察は行いません。
2026年の研究を、三つの段階に分けて見てみましょう。実験でよい結果が出ること、大きな製品でも安定して動くこと、多くの人が使えるように製造することには、それぞれ別の確かめが必要です。
実験で確かめる|光を受け取る層を重ねる
ドイツの研究機関HZBは2026年6月、CIGSとペロブスカイトという二種類の半導体を重ねた太陽電池で、認証効率25.5%を発表しました。面積1.081 cm²の研究セルでの結果です。異なる光を受け取りやすい材料を組み合わせる工夫ですが、家庭の屋根全体でも同じ値になるという意味ではありません。10
この材料の組合せと面積区分での記録です。太陽電池全体の最高記録としては扱いません。
材料の組合せを調べる|電池の中の液体
2026年4月の査読論文では、ナトリウムイオン電池の電解液を工夫し、分子どうしの関わり方や電極表面の膜を調整しています。温度による変化や耐久性などを、実験用セルと試作セルで評価しました。「何を入れるか」に加え、「材料どうしがどう関わるか」も大切だと分かる例です。11
論文の材料・温度・試験条件で得られた結果です。市販電池すべての寿命や安全性を保証するものではありません。
製造へ進める|予定と実績を分けて読む
中国CATLは2026年4月、ナトリウムイオン電池Naxtraの本格量産を2026年末に予定すると発表しました。材料を大量に、同じ品質でつくる段階にも課題があります。このページの確認日である2026年10月20日時点では、その発表を「量産予定」として紹介します。12
企業が公表した計画です。量産の完了や広い普及を、ここで独立に確認したわけではありません。
基本を確かめる:太陽電池と充電池は、何が違う?
太陽電池は、半導体という材料が光のエネルギーを受け取り、電気として取り出す装置です。充電池は、外から受け取ったエネルギーを蓄え、あとで回路へ供給するためのものです。「電池」という名前がついていても、役目が違います。ふつうの太陽光発電は、光を電気へ変えるのであって、太陽の熱で発電するしくみではありません。9
2026年の研究を、数字の意味から読む
「よくなった」は、何と比べて分かった?
研究のニュースも、家での観察と同じように、「何を変え、何を測ったか」を探すと読み解けます。ここでは、二つの研究をもう少し詳しく見ます。
太陽電池|100のうち、電気として取り出せたのは?
HZBの2026年6月30日の発表では、二種類の半導体を重ね、材料の境目などを調整しました。認証された25.5%という効率は、試験時に受けた光のエネルギーを100とすれば、電気として取り出せた分が25.5に相当する、という意味です。残りが消えたわけではありません。
試料は1.081 cm²。この材料の組合せと面積区分での結果です。広いパネルを長期間使うときも同じ値になるかは、別の確認が必要です。研究機関発表[出典10]
電池|何回使ったあと、どのくらい残った?
中国の研究チームの2026年4月15日の論文は、ナトリウムイオン電池の中の液体を工夫し、分子の関わりや電極表面を、測定と計算で調べています。特定の電極を調べる小さな実験用セルで、充放電5,000回後に、初めの87.6%の容量を保ちました。容量は、決められた条件で取り出せる電気量の指標です。
これは、どの電池でも5,000回使えるという保証ではありません。試作セルを含め、材料・温度・充放電の条件を付けて読む結果です。子供には「毎回同じやり方で試し、使える量がどう変わるか比べた」と伝えられます。査読論文[出典11]
研究の確かめ問題|25.5%と87.6%は、そのまま比べられる?
この二つの数字だけで、どちらが優れているかは決められません。25.5%は、受けた光のエネルギーを100としたとき、電気として取り出せた分です。87.6%は、電池の初めの容量を100としたとき、くり返し使ったあとに保たれた分です。比べるもとが違うので、まず「何を100にした数字?」と確かめよう。
上の二件の公表日・試験の範囲を、一次資料で2026年10月21日に再確認。研究セルの成果と、市販品の性能・量産予定は分けて扱います。
予想したあと、同じ条件で見比べてみよう。
見たことと、考えたことをつなぐ
「何が変わった?」を、一つ残そう。
長い感想を書く必要はありません。絵や言葉を一つずつ残したり、図を指でたどって話したりしてみよう。
氷を見たら
- 見るところ
- はじめと数分後の、氷の高さ・輪郭と、まわりの水。
- 見えたことの例
- 「角が丸くなった。水が広がった」
- 図とつなげる
- 氷が水に変わった。変化に必要なエネルギーは、温かい空気や皿から移った。
懐中電灯を見たら
- 変えるところ
- 同じ懐中電灯で、スイッチを入れる・切る。
- 見えたことの例
- 「入れると光った。切ると消えた」
- 図とつなげる
- スイッチで道がつながると電流が流れ、切れると流れ続けなくなる。
電流や水分子の動きは、この観察で直接見えたわけではありません。見えた変化を、図に描かれたしくみで説明しているんだね。「見たこと」と「理由として考えたこと」を分けると、説明が伝わりやすくなります。
懐中電灯は説明書どおりに使い、光を目に向けません。分解や配線の実験はせず、完成した器具で観察します。氷はトレーの上に置き、ぬれた所をふいて片付けましょう。
ここでは、新しい道具をそろえず、家にあるものから一つ選びます。全部を試す必要はありません。低学年の子供は「どう違った?」を絵で、高学年の子供は時間や条件も短く記録すると、あとで比べやすくなります。
思った結果にならなかったら。
氷の大きさ、皿の厚さ、置いた場所、氷と皿の触れ方を見直します。二つ以上の条件が違えば、結果の理由を一つには決められません。「正解と同じ写真になったか」より、「何をそろえ、何を変えたか」を話すことが、実際の研究へつながる学びです。家庭では結果を断定せず、気になった条件を一つだけ変えて、別の日にもう一度比べてみてもよいでしょう。
RESEARCH & SOURCES
出典と、説明の範囲。
基礎の説明は学会・公的機関の教材を、研究の現在地は2026年の論文と研究機関・企業の発表を参照しました。本文の数字から対応する資料へ進めます。研究結果と企業の予定は分けて記載しています。
- 01
- 02
- 03
- 04
- 05
- 06
- 07
- 08
- 09
- 10
- 11
- 12
- 13Institute of Physics:電気回路を輪として考える ↗
物理教育資料/2026年10月20日確認
切れ目のない回路と電流、回路の各所にある電荷を説明。閉じた回路・開いた回路の図の基礎資料です。
- 14Institute of Physics:熱と温度を区別する ↗
物理教育資料/2026年10月20日確認
温度と、温度差によって移るエネルギーを区別。水の量による違いは、同学会の温まり方・冷え方の指導資料も参照。
水の量と温度変化の指導資料 ↗ - 15Institute of Physics:電流と磁場でモーターが回る ↗
物理教育資料/2026年10月20日確認
磁場の中で電流が流れるコイルに力がはたらき、回転するしくみを説明。原典は16〜19歳向けで、本文は数式を使わない説明へ再構成。
- 16米国DOE:LEDが光を出すしくみ ↗
2016年7月1日/基礎のしくみを参照・2026年10月20日確認
半導体内の電子・正孔の再結合による発光と、光にならない過程を解説。2016年の研究解説を基礎の説明に用い、最新研究としては扱いません。
- 17Institute of Physics:エネルギー保存と散逸 ↗
物理教育資料/2026年10月20日確認
エネルギーの総量が保存されることと、周囲へ広がって利用しにくくなることを区別。節約する理由を説明。
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- 19
- 20電池工業会:使い切り電池と充電に関するQ&A ↗
業界団体の技術Q&A/2026年10月20日確認
Q19・Q20などを参照。一次電池は充電用に設計されていないことを確認。本文の充電は、対応する充電池と充電器の組合せの説明。
資料確認:2026年10月20日。図はしくみの一部に注目するための模型です。家庭での問いと観察手順は、資料をもとにコノマナ編集部が組み立てました。材料研究や生産状況に新しい確認が得られた際に見直します。