ニュートリノは、どうやって見つける?|地下の水と光を親子で考える

FEATURE 04 · NEUTRINO

地球をすり抜ける粒子を、どう見つける?

地下の水と南極の氷が、宇宙からの合図を待っている

夕食を食べているときも、眠っているときも、太陽などから来たニュートリノが私たちの体を通り抜けています。触った感じも、通った跡もありません。それなのに、科学者はどうして「来た」と分かるのでしょう。答えの一つは、岐阜県の山の地下にある、大きな水槽の中にあります。

大型水槽と壁面の光センサーを表現した学習用イメージ
ニュートリノ検出器を表現したイメージ。実際の施設の写真ではありません。

LEARNING GUIDE · 学びの入口

このコラムで学べること

  1. ニュートリノそのものではなく、反応で生じた粒子の信号を記録する仕組みが分かる。
  2. 大きな水槽と、地下の岩が果たす役割の違いを説明できる。
  3. 信号を一回見つけることと、原因を確かめることを分けて考えられる。

まれな反応 → 生じた粒子と光 → 大きな検出器 → 余分な信号を減らす工夫、の順に読みます。身近な音の体験で、合図を聞き分ける条件を比べましょう。

通り抜ける。でも、ごくまれに反応する

ニュートリノは、物質の基本的な構成要素である素粒子の仲間です。電気を帯びておらず、ほかの物質と非常に反応しにくいため、厚い岩や地球の中も通り抜けます。ただし、まったく反応しないわけではありません。水の中の電子や原子核と、ごくまれに反応します。

スーパーカミオカンデには、5万トンもの水が入っています。大きな水槽を使うのは、そのまれな反応が起きる機会を増やすためです。小さな網で少し待つより、大きな網で長く待つほうが見つけやすい、という考え方に似ています。ただし、網の目で粒子を引っかけているわけではありません。

光ったのは、ニュートリノそのもの?

ニュートリノが水と反応すると、電子などの電気をもつ粒子が飛び出すことがあります。その粒子が、水中の光より速く進むと、チェレンコフ光という弱い光が出ます。水槽の壁のセンサーは、光が届いた場所、時刻、量を記録します。研究者はそれらを組み合わせ、もとのニュートリノについて調べます。

ここでいう速さは「水の中を進む光」との比較です。真空中の光の速さを超えるわけではありません。また、装置の写真で電球のように見えるものは、照明ではなく光を受け取るセンサーです。「何が光ったのか」「何が光を受けたのか」を分けると、仕組みが見えてきます。

どうして、空ではなく地下を見るの?

地上には、宇宙線によって生まれる別の粒子も届きます。それらも装置に信号を残すので、探している反応と取り違えるおそれがあります。地下の厚い岩は、その影響を減らします。人の声が重なる場所より、静かな部屋のほうが小さな合図を聞き取りやすいのと似ています。

南極のIceCubeは水槽の代わりに広大な氷を使い、反応で生じた粒子の光を調べます。液体アルゴンを使う検出器では、反応のあとに生じる電子や光を記録します。どれも、ニュートリノの姿をそのまま撮る装置ではありません。材料や測り方を変えることで、調べやすいエネルギーや反応も変わります。

大人ともう一歩。「見つからない」は「いない」?

反応が見つからなかったとき、ニュートリノが一つも通らなかったとは限りません。通ったけれど反応しなかったのかもしれないし、信号が弱くて記録できなかったのかもしれません。研究には、見えたものだけでなく、装置が何をどこまで見つけられるかを確かめる作業も必要です。

物質を通り抜けやすい性質は、観測の難しさであると同時に、遠い場所を調べる強みでもあります。太陽の内部や星の大爆発から来るニュートリノは、光だけでは分からない出来事を伝えてくれます。見つけにくい一粒に、宇宙の情報が詰まっているのです。

TRY & TALK · やってみる

小さな合図を数えてみよう

地下の岩で余分な信号を減らす工夫を、音を聞き分ける体験で考えてみましょう。同じ合図でも、周りの音があると記録はどう変わるでしょうか。

時間の目安
5〜10分
用意するもの
鉛筆、紙2枚、時計。2人で行います。
  1. 合図を出す人は、20秒間にたたく回数を決め、聞く人には知らせません。聞く人が目を閉じたら、鉛筆で机を小さくたたきます。実際の回数と聞いた回数は、別々の紙に記録します。
  2. 今度は紙をカサカサさせながら、同じ20秒・同じ回数・同じ位置と強さで合図を出します。両方が終わったら答えを見せ、聞いた回数との差を比べます。役割を交代しても試せます。
  3. うまく聞こえなかったら、合図を強くする以外にできる工夫を一つ考えます。周りの音を減らす、合図を出す場所を決めるなど、条件を変えて確かめましょう。

これはニュートリノを検出する実験ではなく、必要な信号を周りの信号から区別する体験です。差が出なかった場合も記録し、音の強さや距離がそろっていたかを考えてください。

CHECK & EXPLAIN · 確かめる

読んだことを、確かめる

水槽で光の信号を一回記録したら、それだけでニュートリノが来たと言える?

考えてから、解説を開く

まだ言えません。別の粒子も信号を残します。光の届いた時刻、場所、量などを調べ、ほかの原因で説明できないかを確かめます。

TAKEAWAYS · 振り返る

ここまでの学び

  • 水の検出器では、ニュートリノのまれな反応で生まれた荷電粒子が残す光を調べます。ニュートリノを直接撮った写真ではありません。
  • 水の量を増やすのは反応の機会を増やすため、地下へ置くのは余分な信号を減らすためです。
  • 光の時刻・場所・量などを組み合わせ、別の原因では説明できないかを確かめます。

一つ選び、本文を見ずに自分の言葉で説明してみましょう。迷ったところは、対応する見出しへ戻って確かめられます。

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