限局性学習症|家庭・学習・学校・相談先

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子供の育ちと、日々の支え / SLD

限局性学習症

分かっているのに、つらい。
その間に、支えを届ける。

一緒に何度も練習したのに、次の日には読めない。宿題に付き添う時間が延び、親子ともに苦しくなる。「教え方が悪いのだろうか」と、ご自身を責めていませんか。見える点数だけでは分からない子供の努力に目を向け、学ぶ方法と日々の負担を見直します。

石壁と木の本棚のある読書スペースで、娘が本を読み、隣で父親が見守るイメージ
01 / 理解と向き合い方

努力が、
見えにくいだけかもしれない。

丁寧に教えているのに進まないと、親御さんも「このままで大丈夫だろうか」と不安になることもあるでしょう。子供が嫌がる様子だけを見ると、意欲の問題にも見えます。けれど、本人が言葉にできないほど、読む・書く・計算することに負担がかかっている可能性もあります。

「今日は何問できた?」だけでなく、「どの場面がいちばん大変だった?」を確かめます。うまく説明できなければ、「読む時? 書く時? 計算する時?」と、答えやすい聞き方に変えてみます。宿題が終わらなかった日も、かかった時間と疲れ方は、学校へ相談するための大切な手がかりです。

限局性学習症(SLD)は、読む、書く、算数・数学などの学習技能に持続的な困難がある神経発達症です。難しさの組み合わせは子供によって異なります。読む難しさが中心のディスレクシアだけを指す言葉ではありません。

学校教育で使われる「学習障害(LD)」と医療の「限局性学習症」は、範囲・定義が完全に同じではありません。名称を決めることだけでなく、本人の困りごとを学校と専門家が具体的に評価することが大切です。

ノートが白い、宿題に長い時間がかかる、音読を嫌がる。見える結果だけで努力を判断せず、「読むのがつらい? 書くのがつらい?」と、答えやすい選択肢で尋ねます。視力・聴力、学習機会、他の発達上の困難なども含め、専門家に相談してください。

参考:国立精神・神経医療研究センター「発達障害(神経発達症)」 / 国立特別支援教育総合研究所「子供への合理的配慮」

02 / 勉強法

読む・書く・計算する。
それぞれに、別の入口を。

練習をやめたら遅れてしまうのでは、と心配になるかもしれません。必要な技能の指導は続けながら、読み上げや入力などを使って授業の内容に参加する道も残します。「助けを使うこと」と「学ぶこと」は、対立するものではありません。

読むことが難しい場合

読み上げや音声教材、行を追う目印、読みやすい文字の大きさ・行間などを試します。文字色や背景色の好みは本人に確かめます。読みの指導そのものも、つまずきに合った方法を専門家・学校と検討します。

書くことが難しい場合

板書の量を減らす、プリントを使う、キーボードや音声入力、口頭での回答を検討します。内容の理解を確認する課題と、書字を練習する課題を分けると、理解している内容を確かめやすくなります。

計算することが難しい場合

実物、数直線、図で数の意味を確かめます。位取りが分かりやすい用紙、途中式の見本なども候補に。電卓等の使用は、学習・評価の目的に照らして学校と相談します。

家庭で試す一例:理科の説明文を一緒に聞き、理解したことを口頭で説明する。読みの負担と理科の理解を分けてみます。補助ツールを使うことと、本人に合った技能の指導は両立できます。

同じ練習の大量反復を唯一の方法にせず、短い課題で疲労と理解を確かめます。英語圏の読みの支援を、そのまま日本語の指導法として当てはめないことにも注意が必要です。

こんな時、こう相談できます

相談時の伝え方の例です。ご家庭の状況に合う言葉に置き換えて使ってください。対応や利用条件は相談先によって異なります。

長く練習しても進まず、親子で泣いてしまう

相談先の候補:担任・特別支援教育コーディネーター

「音読に時間がかかり、親子で泣いて終わる日があります。話を聞けば内容は説明できます。読む練習の方法と量を見直し、内容を学ぶ時は読み上げを使うことも相談できますか。」

伝えておくとよいこと
音読にかかる時間、つまずく部分、聞いて理解できた内容。

相談のポイント
読みの技能と内容の理解を分けて相談します。練習か補助かの二択ではなく、両方をどう組み合わせるかを考えます。

メモを全部そろえる必要はありません。今いちばん困っている一場面を伝え、「何から始めるとよいか」を尋ねるだけでも構いません。本人の希望も、分かる範囲で添えられます。

参考:国立特別支援教育総合研究所「子供への合理的配慮」 / NHS:子供のディスレクシア(英国)

03 / 学校との付き合い方

同じ方法ではなく、
力を発揮できる方法を相談する。

学校への相談をためらう時は、「どこまで伝えればよいか迷っています」と切り出すこともできます。診断名だけでなく、家庭や教室で困っている場面、助けになった工夫を伝え、学校でできる対応を一緒に考えます。

担任と特別支援教育コーディネーターに、実際のノートやプリント、取り組んだ時間、口頭なら答えられる内容などを持参します。本人が困っている場面と、できる場面を両方伝えます。

伝え方の一例:「説明は口頭なら理解できますが、長い文章を自分で読むと時間がかかります。読み上げ、時間の調整、口頭回答を、課題の目的に合わせて検討できますか。」

補助機器の使用、板書の軽減、提出方法、評価の方法などを個別に相談します。配慮は一律に決まるものではなく、本人の必要性と授業・評価の目的を踏まえて話し合います。個別の計画や通級による指導も、学校・教育委員会に確認してください。

うまく伝わらない時は、相談する相手を増やす

すぐに話がまとまらなくても、親御さんの説明不足と決めつける必要はありません。本人の希望、試す配慮、担当者、振り返る時期を短く書いて共有します。担任だけで難しい時は、特別支援教育コーディネーター、管理職、教育委員会の教育相談へ。課題の量や提出方法も、調整できるか具体的に尋ねてください。

こんな時、こう相談できます

相談時の伝え方の例です。ご家庭の状況に合う言葉に置き換えて使ってください。対応や利用条件は相談先によって異なります。

分かっている内容でも、テストで書けない

相談先の候補:担任・特別支援教育コーディネーター

「口頭なら説明できますが、書くことに時間がかかり、テストでは空欄が多くなります。何を評価する課題なのかを確認し、時間の調整や入力、口頭で答える方法を検討できますか。」

伝えておくとよいこと
実際の答案、口頭で説明した内容、書く時の疲れ方。

相談のポイント
理解を確かめる評価と書く技能の評価を区別します。方法は一律に決まらず、授業・評価の目的と本人の必要性を学校と話し合います。

板書で精いっぱいになり、説明を聞けない

相談先の候補:担任・特別支援教育コーディネーター

「黒板を写している間に説明が進み、授業の内容が分からなくなると言います。写す量を減らす、資料を配る、端末を使うなど、話を聞く時間を確保する方法を相談できますか。」

伝えておくとよいこと
ノートの例、写す時間、本人が困る授業。

相談のポイント
ノートの量だけを成果にせず、授業に参加し内容を理解できるかを確認します。撮影や端末の利用は学校のルールも相談します。

メモを全部そろえる必要はありません。今いちばん困っている一場面を伝え、「何から始めるとよいか」を尋ねるだけでも構いません。本人の希望も、分かる範囲で添えられます。

参考:国立特別支援教育総合研究所「子供への合理的配慮」 / 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(2021年)

04 / 運動と休息

勉強から離れる時間にも、
子供の居場所を。

体を動かすことは、楽しみや自信を持てる活動の一つです。読み書きが苦手でも、運動が得意とは限りません。本人が選べる遊び、散歩、無理のない活動から探します。

説明を読むことが負担なら、動作の見本や短い口頭説明も使えます。運動を読み書きや計算を治す訓練として強制せず、痛み、苦手さ、安全面にも配慮します。

学習に時間がかかるからと、好きな活動と休息をすべて削らないこと。課題の量を調整し、本人の楽しみを残す方法を学校と考えます。

参考:NHS:子供のディスレクシア(英国)

05 / 食生活とサプリメント

食べる安心と、
必要な栄養を分けて考える。

読み書きの苦しさを見て、「食事に足りないものがあるのでは」と心配する親御さんもいると思います。健康を支える栄養の確認は大切です。ただ、学習の困難を食事だけのせいにすると、必要な学び方の調整が後回しになってしまいます。

宿題が長引いて夕食や睡眠が削られるなら、先に課題の量と時間を学校と相談します。食事を勉強のご褒美や罰にせず、家族が落ち着いて食べる時間を守ることも支えになります。食欲、偏食、体重や成長への心配は小児科・管理栄養士へ。栄養補充を検討することと、読み書き・計算の支援を進めることは、別々に考えられます。

サプリメントは、目的を分けて考える

「少しでも助けになるなら」と、情報を探している方もいると思います。サプリメントが役立つかどうかは、栄養の不足や健康状態によって異なります。食事や成長、必要に応じた検査をもとに、足りない栄養を補う目的で検討できる場合があります。それは、発達上の特性そのものを治療することとは別です。

鉄 / 不足が確認された場合に
鉄不足がある場合は、医師が補充の必要性を判断します。落ち着かなさや疲れだけで不足と決めず、小児科で原因と検査の必要性を相談します。鉄欠乏の治療には医薬品が用いられることもあり、市販サプリで代用する判断は医師に確認してください。過量や誤飲は危険です。
ビタミンD / 食事・生活・健康状態を評価して
ビタミンDは骨の健康に関わります。摂取や日光に当たる機会、病気などを踏まえ、不足やそのリスクがある場合に補充を検討します。発達上の特性があることだけを理由に飲ませるのではなく、小児科で必要性を確認します。過量は健康を損なうため、多いほどよいものではありません。

選ぶ前に、必要な成分と量を確認する

  • 不足を補う目的、成分ごとの量、対象年齢が確認でき、医師・薬剤師が年齢や体格、服薬状況に合うか判断できるもの。
  • 原材料・アレルゲン・販売者や問い合わせ先が明示されているもの。「天然」「子供向け」という表示だけで安全とは判断しません。
  • 複数製品や栄養強化食品との成分の重複を確認できるもの。成人用の製品を、自己判断で減量して子供に与えないでください。
  • 子供が無理なく摂れる形状で、保管方法を守れるもの。錠剤などを無理に飲ませず、誤飲を防ぐため子供の手の届かない場所へ。

「治る」「集中力が必ず上がる」といった宣伝や体験談だけを根拠に、診療・教育的支援を中断しないでください。

相談の一例:「食べられるものがこの数種類です。栄養の不足がないか確認したいです。補う必要があるなら、何を、どのくらいの期間使い、いつ見直すとよいでしょうか。」すでに使っているものがあれば、容器や成分表示の写真を持参し、量や使い始めた時期を伝えてください。

栄養の補充だけに、学習の改善を期待しない

不足への対応が必要な場合でも、それを補えば読み書きや計算の困難が解消すると約束できるものではありません。本人に合う指導、読み上げや入力などの補助、学校での配慮を並行して検討します。

こんな時、こう相談できます

相談時の伝え方の例です。ご家庭の状況に合う言葉に置き換えて使ってください。対応や利用条件は相談先によって異なります。

宿題で、夕食と睡眠が遅くなる

相談先の候補:担任・教育相談窓口

「宿題が終わらず、夕食と就寝が遅くなっています。食事や休息も守りたいです。練習の目的に合う量に絞り、家庭で切り上げる目安と、終わらない場合の提出方法を相談できますか。」

伝えておくとよいこと
宿題にかかった時間、食事・就寝への影響、難しい課題。

相談のポイント
生活を削って量をこなす以外の道を探します。栄養への心配が別にある場合は、小児科や管理栄養士にも相談できます。

メモを全部そろえる必要はありません。今いちばん困っている一場面を伝え、「何から始めるとよいか」を尋ねるだけでも構いません。本人の希望も、分かる範囲で添えられます。

参考:NIH ODS:鉄の不足・補充・安全性(2023年/米国) / NIH ODS:ビタミンDの不足・補充・安全性(2022年/米国) / NCCIH:子供と補完的な健康アプローチ(米国)

ご家族のために

支える大人にも、
支えが必要な日がある。

読み聞かせや宿題の付き添いが、いつの間にか親子の言い争いになることがあります。練習の時間を増やす前に、本人が知っていることを別の方法で示せないか、学校と一緒に考えてみてください。

ご両親で、見え方が違う時

困りごとの捉え方や、診断・支援への考えが違うこともあります。どちらが正しいかを急いで決めず、「今いちばん負担な場面」「子供が困っていること」「一週間だけ試すこと」を一つずつ共有します。話し合いが難しい時は、相談員などに同席を頼む方法もあります。一人で養育している方や、ご両親以外が支えるご家庭も、同じように支援を求められます。

今日、全部を変えなくても

いくつもの工夫を、一度に始める必要はありません。まずは、一つの宿題、一つの朝の支度、一つの学校への連絡から。親子でぶつかった日は、落ち着いてから「さっきは強く言ってしまったね。次はどうしようか」と短く話し直すこともできます。記録や練習を増やす前に、やめられる負担がないかを相談してください。

親の会やペアレント・トレーニングなど、保護者のための支援が地域で利用できるかは、発達障害者支援センター等に尋ねられます。参加する余裕がない時は、個別相談や利用しやすい方法があるか確認できます。気持ちのつらさが続く時は、ご自身のかかりつけ医にも相談してください。

こんな時、こう相談できます

相談時の伝え方の例です。ご家庭の状況に合う言葉に置き換えて使ってください。対応や利用条件は相談先によって異なります。

子供が「自分はだめ」と言い始めた

相談先の候補:担任・スクールカウンセラー等

「間違えるたび「自分はだめ」と言います。励ましても受け止められない様子です。苦手な課題での負担を減らし、できることを確かめられる場面と、本人が話せる相手を一緒に考えたいです。」

伝えておくとよいこと
本人の言葉、気持ちが変わった時期、安心して話せる場面。

相談のポイント
励ます言葉を考えるだけでなく、本人がつらい思いをする場面を減らせないか話し合います。本人の気持ちを急いで前向きに変えようとしません。

家族に「練習が足りない」と言われる

相談先の候補:教育相談窓口・発達障害者支援センター

「家族は練習を増やすべきだと考え、私は子供の疲れが心配です。実際のノートや取り組んだ時間を見ながら、必要な指導と補助の使い方を一緒に説明していただくことはできますか。」

伝えておくとよいこと
取り組んだ記録、疲れた様子、家族それぞれの心配。

相談のポイント
努力の有無を争うより、どこでつまずき、何なら力を出せるかを共有します。家族への説明や同席に対応できるかは相談先に確認します。

メモを全部そろえる必要はありません。今いちばん困っている一場面を伝え、「何から始めるとよいか」を尋ねるだけでも構いません。本人の希望も、分かる範囲で添えられます。

参考:発達障害情報・支援センター「基本的な支援原則」 / 発達障害情報・支援センター「医療・相談機関へ行くときには」 / 国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センター・一覧」

06 / 全国の相談先

宿題のたびに、親子でつらい。
その気持ちも、相談していい。

困りごとの入口が分からない時は、お住まいの地域を担当する発達障害者支援センターに、相談の対象年齢・地域・予約方法を確認してください。センターによって対応内容は異なり、診断を行う医療機関とは役割が違います。

全国の発達障害者支援センターを探す都道府県・政令指定都市別の名称、所在地、連絡先を、公的な一覧で確認できます。

どこに、何を相談するか

  • 暮らし・発達・支援の入口:地域の発達障害者支援センター、市区町村の保健センター・発達相談窓口。学校との連携や地域の支援について尋ねます。
  • 学習・学校生活:担任、特別支援教育コーディネーター、教育委員会の教育相談。必要に応じてスクールカウンセラー等との相談を依頼します。
  • 診断・体調・治療:かかりつけ小児科、発達を扱う医療機関。受診先が分からなければ、地域の相談窓口に紹介経路を確認します。

予約前に、伝えたいことを3つだけ

  1. 年齢・住んでいる地域・今いちばん困る場面。
  2. いつから、家庭と学校でそれぞれどう見られるか。
  3. 試した工夫、助けになった方法、本人の希望。

診断の有無を含む利用条件、費用、紹介状の要否、待機期間は窓口ごとに確認してください。受診待ちの間も、家庭や学校でできる支援を相談できます。

強い痛み、水分が取れない、急激な体調悪化、自傷などで安全が守れない場合は、通常の予約を待たず医療機関へ。生命に危険がある時は119番です。

参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センター・一覧」 / 発達障害情報・支援センター「医療・相談機関へ行くときには」

資料と読み方

一つの方法に、
子供を合わせない。

工夫を試した後は、子供の負担が減ったか、ご家族が続けられそうかを確かめてください。合わない方法を続ける必要はありません。本人の希望、年齢、疲労、家庭で使える時間を踏まえ、学校・専門家と調整してください。

このページは一般的な情報で、診断や個別の治療の代わりにはなりません。英国・米国の資料に記載された制度や受診方法は、日本とは異なります。日本で利用できる支援や受診先は、地域の窓口に確認してください。薬の開始・変更・中止は医師に相談してください。

資料確認日:2026年9月18日。リンク先の内容・相談窓口は変更される場合があります。医療専門家による個別の監修は未実施です。